「優勝」「強い」だけではなかった西武ライオンズ観客増加の理由

思うがままコラム

今年のパ・リーグのペナントレースは西武が2年連続の優勝となり終了した。チーム投手防御率こそ悪いもののそれを上回る「山賊打線」の勢いは今年も健在。

まさに打ち勝っての優勝と言えるだろう。

オリックスファンである筆者としてはその打線も優勝も羨ましいが、もうひとつ羨ましいことがある。

それは西武ライオンズの本拠地であるメットライフドームの観客動員数がうなぎ登り状態だということだ。

もちろん強いからというのもあるのだが、あれだけ過疎地(失礼)に本拠地を構えながら、なぜそんなに観客を集めることが出来たのか?

それには様々な戦略が絡んでいたという。

今回は西武ライオンズ観客動員数増加の秘訣に迫ってみたいと思う。

メットライフドームまでのアクセスは…

西武池袋線が地下鉄副都心線と乗り入れて、その先東急東横線と繋がり、一気に所沢までほぼ乗り換え無しで行けるようにはなった。

だが、とにかく時間はかかる。交通費もそれなりにかかる。ちなみに池袋駅からだと約50分、西武新宿駅からだと約1時間少しかかる。

西所沢駅から先、西武球場前駅までの西武狭山線は単線区間。先頭車両の一番前から覗く運転席前の車窓を見ていると、恐ろしくのんびりした風景の中を電車が走っていくのがわかるだろう。

木々の間から段々とドームの屋根が見えてきて、複数ホームのある西武球場前駅に到着するという感じである。

恐らく単線駅を最寄りにしている本拠地を持つ球団は、西武ライオンズだけなのではないかと思っている。

メットライフドーム周辺を航空写真で見てみた

これがメットライフドーム周辺の航空写真なのだが、現地に行ったことのない人ほど必ずと言っていいほど驚く。なぜ驚くかは人それぞれなのだろうが、すぐそばに湖やスキー場があるのが他地方のファンからするとビックリしてしまうのだろう。ドームより少し離れたところに市街地があるようだが、そこまでもかなりの森林で区切られている。

筆者は電車でしか行ったことがないが、一応駐車場に余裕はあるので車で現地に行くことは出来る。

ただ、行き帰り道のりがルートによっては(特に夜)、走りづらい道を行かなくてはいけないと聞いたことはある。周辺に高速もないので、当然下道になるだろう。

このようにかなりアクセス的には他球場よりも不利で、気軽に行けるとしたら西武沿線民しかいないのではないか?と思われるメットライフドーム。

もちろん強いチームであるし、各選手の知名度も上がってきているのでファンも増えているのは事実だが、それだけでは「主催試合で26日分はチケットが完売した」という売り上げには繋がらなさそうだ。

何が磁石のようにこのメットライフドームこと「猫屋敷」に引き寄せられたのだろうか。

最低観客動員数からの涙ぐましい努力

(引用:西武ライオンズ公式ページ)

航空写真を見れば察しがつくし、実際足を運んだ人なら分かるがこの球場は完全なドーム(屋根)ではないため、外の空気が入り込み所沢という土地独特ともいえる気候がそのまま直撃する。

つまり春先は寒く夏場はサウナのように暑い。

人にもよるだろうが屋外球場より寒く暑いと言うファンもいるくらいである。

それもこの球場の特徴となってしまっているのだが。

では近年の西武主催ゲームの観客動員数の推移を見てみることにしよう。

(引用:https://markezine.jp/)

今から12年前の2007年には約109万人と、この年の12球団観客動員数ワーストを記録している。因みにこの年の西武の順位は5位。この頃のパ・リーグは日ハムの黄金期だった。

この年をきっかけに、球団営業部は観客動員数を増やすために、チームや選手の成績以外でプロジェクト的なものを発足している。

CRMという新しい戦略構想を打ち出して観客増加へ

それが名付けて「Customer Relationship Management」。略してCRM。

いささか難しい言葉なので引用で説明したいと思う。

顧客関係管理(こきゃくかんけいかんり、Customer Relationship Management(CRM))とは、顧客満足度顧客ロイヤルティの向上を通して、売上の拡大と収益性の向上を目指す経営戦略/手法である[1]顧客情報管理顧客関係構築、単に顧客管理と訳される場合もある。
顧客管理関係

CRMとは一口に言って顧客管理関係、つまり球場に来てくれるファンの満足度調査や管理をしたりそれにそってマネジメント(企画を立てたり)する事だと思ってくれればいい。

ライオンズの球団営業部はもう12年も前からこの制度を取り入れて球場周辺の整備やファンクラブの充実、グッズの企画や試合でのイベント関係に至るまでを全てマネジメントしてきたのである。

このプロジェクトの担当者によればまず女性ファンの取り込みに成功したり、キッズファンクラブ会員の充実を図ったりしてまず観客動員に必要な要素とも言える「野球ライト層」の取り込みに成功した。

ライト層というのはいわば熱烈なファンではないけれど、1年に数回は球場に行こうかなというようなファンである。

そうしたファンは増えれば増えるほど動員数は増加する。

近年の例で言えば横浜DeNAベイスターズもそのような戦略からスタートして観客動員を伸ばしてきた。

他にも、西武グループという強みを生かして車内広告を駆使したり、西武クループ一丸となって取り組んだことも成果として挙げられている。

12年間の歩みの中で

12年間の間、チームが段々と強くなっていったかというと決してそうではない。

しかし、観客動員数はほぼ右肩上がりに増加しているのがグラフを見ればお分かりだろう。

逆にビジターでの西武ファンは決して多いとは言えない中で、本拠地であるメットライフドームでこれだけの観客動員数の結果を出しているのは、ライト層がいずれライオンズのファンになり、ファンクラブに入会し、定期的に来場してくれるというリピートが大切だ。

そのために球団営業部のCRMでは顧客満足度調査、つまりファンに対して直接どのように改善して欲しいかをダイレクトに調査している点は高く評価出来る。

西武球団のCRMが生み出した改善策

例えば、メットライフドームには入り口が一つしかないため、会場時には混雑が激しい。そのため他球団でも進みつうあるチケットレス化も既に導入している。いわばストレスフリーの一環である。

またファンに「またメラド(メットライフドームの略)に来たい」と思わせる企画も充実させている。

またメットライフ周辺もだいぶ整備が進み「娯楽施設化」が進んだことにより、ファミリー層の獲得にも繋がっているだろう。

開場前から球場前には様々なワゴンカーが並んでおり、グルメを楽しむことも出来るのは球場グルメ党にはたまらない。

さらに2019年の開幕シリーズでは寒い事を考慮してか、ブランケットの配布まで行った。

これは観戦するにあたってとても観客にはありがたい事のひとつだと思う。

要は様々な箇所に気配りをしているのである。

人気選手が出てきたり、ちょっと前の「赤獅子ユニ」が流行ったりと目立つ所にも勿論充分な検討を重ねている結果だ。

田辺監督から辻監督に交代した近年はチーム自体の調子が良くなかったにも関わらず、観客動員が落ちなかったのは何故なのか。

それはやはり2007年という最低観客動員数を記録した年からの「積み上げ」が功を奏し、根強いファンが増えてきた結果だと推察する。

メットライフの観客増加・まとめ

西武ライオンズの観客増加の理由について解説してきたのでまとめたいと思う。

・平均的に強い、人気選手が多い
・西武沿線という強みを逆に西武グループのひとつとして営業戦略した
・ファンに対する顧客満足度調査を反映
・メットライフドーム周辺の娯楽化
・ファンにとってストレスフリーを提供する
西武ライオンズの「CRM」が発足してから12年。弱い時でも強い時でも着実に観客を増加させるのを見ると、我が贔屓オリックスも京セラガラガラなので、何とかして欲しいですね…。
筆者もブログを書いていますが、何より成功の秘訣は成功者から学ぶことですから。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 


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